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プロボウラー・インタビュー


小野在由 ARIYOSHI ONO

2023年プロ入り 61期 No.1451

東京都出身

身長174cm / 64kg

右投げ


 

ボウリングを始めたきっかけ

写真提供:小野在由

9歳の時に、錦糸町駅前にあったロッテボウル(※当時)の夏休みジュニアボウリング教室に参加したことが、ボウリングを始めたきっかけです。小学校の友達と一緒に参加したのですが、その中で僕だけボウリングにはまっていきました。
始めて数ヶ月後には、当時ロッテボウルに所属されていた 天野景之(29期 No.682 フリー)プロに10ポンドのボールを作ってもらい、朝8時の開店から始まる早朝ボウルを楽しんでいました。

ただ、始めて半年くらい経った頃にロッテボウルが閉店してしまい、その後小学校4年生になった頃からは、母と田町ハイレーン(※当時)に通うようになりました。
小学校6年生まではサッカーもやっていたので、学校から帰ってくるとサッカーに行くか、ボウリングに行くかという生活でした。

田町ハイレーンに通うようになってからは、JBCの港支部に入会して、ジュニア大会に参加するようになりました。田町ハイレーンと同じ城南地区の笹塚ボウルに所属されている井口直之(41期 No.983 笹塚ボウル/ABS)プロにレッスンを受けるようになり、オール関東ジュニアや全日本中学選手権での入賞を目指して、練習していました。

写真提供:小野在由
写真提供:小野在由

中学校3年生からは、国民体育大会の出場資格があるため、国体に出場して入賞することも大きな目標になりました。国体には中学校3年生から高校3年生まで東京都代表として出場しました。高校3年生で出場した長崎国体では、個人戦2位・ダブルス2位の成績を残すことができました。ちなみに、その時の個人戦優勝は同期でプロになった宮澤拓哉(61期 No.1445 上武大学/サンブリッジ)プロでした。

大学進学後は、早稲田大学のボウリングクラブに所属し、学生連合で活動しました。ジュニア時代から実績ある選手たちが集まった年代で、全日本大学選手権では2年生と4年生の時に準優勝することができました。

社会人経験をして競技復帰

大学卒業後は、IT系企業に営業職として入社しました。大学3年生の頃から、自分の競技力に自信を持てないようになっていたこともあり、社会人になって最初の2年間、ボウリングからは離れていました。
ただ、社会人生活を送る中で、「もっと勝負のワクワク感を味わいたい」と思うようになりボウリングを再開しました。

早稲田大学のチームメンバー
写真提供:小野在由

また始めるのだから、今度はプロを目指そうという思いがありました。ちょうど再開して半年ほど経った頃、ジュニアの時から同級生で戦っていた水野耕佑(56期 No.1384 岩屋キャノンボウル)プロ新人戦で優勝しました。彼の活躍を見たことが、プロボウラーになる決心をした瞬間でしたね。

プロテスト受験を決めてからは、学生の頃から練習拠点にしていた笹塚ボウルで、また井口プロにお世話になることになりました。仕事終わりに週4日程度練習に通いました。コロナ禍で仕事がリモートワークになったことも練習環境を整える追い風になったと思います。

2度目のプロテストで合格

再開して1年経ったころに挑んだ最初のプロテストは、少し不安を感じながらのチャレンジでした。自分がボウリングから離れていた2年間で、高回転のボウラーやボウリングの知識も豊富なボウラーが増えている印象がありました。
ただ始まってみると、東日本の1次テストを2位で通過できました。これなら通用するのではないかと感じていたのですが、2次テスト・関西会場の牧野松園ボウル(※当時)では30ゲームでマイナス500点以上となってしまい、3週間後に行われた東京会場での30ゲームでも基準点まで持っていくことはできませんでした。日頃の練習において、投げ方の修正ばかりに焦点を当ててしまっていたことで、試合でアジャストしていく力の足りなさを痛感しました。

1回目のテストで浮き彫りになった課題を受けて、2度目のプロテストまでの1年間は、それまでとは異なる取り組みもしました。ボウリング・ディスマンスというボウリング情報サイトの記事で紹介されている練習方法や戦略を取り入れつつ、アマチュアも出られるオープン大会にも積極的に参加しました。オープン大会では、投げながら感じたことや自分のボウリングについて、アジャスト方法・ボールラインナップなどについて、プロボウラーに質問するようにしました。平岡勇人(53期 No.1343 ラウンドワン/ハイ・スポーツ社)プロ、藤井信人(52期 No.1287 ITカンファー株式会社/ハイスポーツ社)プロ、髙田浩規(52期 No.1288 株式会社コロナワールド)プロ、加藤祐哉(43期 No.1066 株式会社スポルト)プロをはじめ、トップレベルで戦っているプロに直接アドバイスをいただきました。 ボールのラインナップやフィッテングは 板倉奈智美(36期 No.372 フリー/ハイ・スポーツ社)プロ、協会理事でヒサカプロショップ代表の日坂義⼈氏にも教えていただきました。
やはりプロボウラーの方々は、大会中のひとつひとつの意思決定に根拠があって、戦略に緻密さがあり、考え方のヒントをたくさん貰えました。座学ももちろん大切ですが、実践の場で得ることは本当にたくさんあったと思っています。

また、2度目のプロテスト前の3月には、前年同様に2次テスト会場となる牧野松園ボウルで開催された関西オープンに出場しました。アマチュア予選と本戦の2回、前年対応しきれなかった会場で投げられたことが、プロテストに向けていい対策になったと思います。
2度目のプロテストでは、1年間取り組んできたボールラインナップの考え方やレーンの下地に対する対応、ゲームが進行する中でのアジャストの引き出しが増えた感覚がありました。ポケットヒット出来ない投球でも、自分の失投だけが原因ではなく、レーン変化に対応すればいいだけだと冷静に考えることが出来て、無事に合格できました。

公認会計士試験に合格

プロテスト受験と並行する形で、公認会計士試験に向けた受験勉強をしました。
20年以上続けられるであろうプロボウラーの選手生活を、時間的にも金銭的にも安定した環境で送っていけるように、手に職をつけて仕事をしたいと考えた事が、受験勉強を始めたきっかけです。受験勉強は通信制の予備校に通い、2年間ほど続けました。
一度は1次試験で不合格となったのですが、プロテスト同様に、不合格のテストで見つけた課題に取り組み、2023年の1次試験・2次試験で合格することが出来ました。合格後は監査法人に転職し、実務経験を積んでいます。

写真提供:小野在由

まずは監査法人勤務をしながら、現役プロボウラーとしてのキャリアを積んでいき、将来的には会計士として蓄積した財務面の知識を、何らかの形でボウリング業界に還元できたらいいと考えています。

趣味は大相撲観戦

趣味は大相撲観戦です。地元が両国国技館に近いこともあり、小さなころから大相撲には馴染みがあります。両国国技館で開催される場所には、各場所必ず1回は観戦しにいきます。地元の近くには相撲部屋も多く、自分が通っているジムにも力士が自主トレで来ていて、一緒の空間でトレーニングをする時もあります。
相撲観戦は、現地観戦に行くとはまる要素がたくさんあります。力士同士がぶつかる音は迫力がすごく、終盤にかけてだんだんと番付が高い力士が登場してくるのでとても楽しめます。また両国国技館の中はフードコーナーが充実していて、美味しいちゃんこ鍋が食べられますし、相撲の歴史博物館もあって楽しいです。親方衆がチケットもぎりやブース販売しているのも魅力です。

株式会社十柱戯を創業
写真提供:小野在由

2023年の12月には、ボウリングカルチャーの承継と創造をコンセプトにコンテンツの企画・制作を行う会社「株式会社十柱戯」を創業しました。 創業初期は、ボウリングウェブメディア「JUXTCHUGI MAG」を運営及びボウリングユニフォームブランド「JUXTCHUGI AUTHENTIC」を展開していきます。
ボウリング参加人数は年間1400万人ほどいると言われていますが、マイボールを持つ人はそのうち約1%というデータがあります。たくさんの人が年に1度はプレーするにも関わらず、マイボールを作ってボウリング場に通うようになったり、プロボウリングを観戦するまでには至らない原因の一つに、ウェブ媒体においてボウリング情報が充実していない事が挙げられると考えています。
初心者からトーナメントプレイヤーまで競技者のレベルに応じたレッスンコンテンツや、ボウラーのボウリングキャリアやライフスタイルを紹介するインタビュー特集、国内外の試合レポートなど、ボウリングを様々な角度から楽しめるようなコンテンツを配信していく予定です。
「JUXTCHUGI AUTHENTIC」はボウリングの競技動作を考慮した、ボウリングユニフォームブランドです。機能面・デザイン面ともに高品質なウェアを展開できるよう、リリースに向けて試作を繰り返し準備を進めています。

プロボウラーとしてのデビューシーズンを終えて

1年間プロとしてトーナメントに参戦し、手ごたえと課題のどちらも感じることが出来ました。デビュー後最初の3試合は全て予選落ちとなり、プロトーナメントの厳しさを痛感しました。9月のドリームマッチでは、初めて選抜を通過することが出来て、本戦もトーナメント方式の9位タイまで進出する事が出来ました。試合中に複数のアングルやボールでアジャストを繰り返し、予選を通過できたことで、適切に対応できれば予選通過や上位進出を目指せると考えられるようになりました。

ドリームマッチでポイントを獲得出来たことで、全日本選手権にも出場することが出来ました。JPBAのトーナメントの中でも一番難しいコンディションの試合で、準決勝に進出出来たことは自信になります。また年末には、KPBA主催のアンドンカップに出場し、初めての海外トーナメントを経験しました。上位を目指すにはまだまだ課題が山積みですが、1年間のトーナメント経験の中でたくさんの収穫もあり、いいデビューシーズンを送れたと感じています。

ボウリングを始めたころから活躍されている憧れのプロボウラーたちと戦えることが素直に嬉しかったですし、トップレベルで戦うワクワク感を味わえていることが幸せで、プロボウラーになれて本当に良かったと思っています。

これからのシーズンも、1試合ごとに準備と反省を繰り返しながら、自分のボウリングを磨いていきたいと思います。
目標は永久シード権を獲得できる20勝。2023年シーズン終了時点で男子では、6名しか達成していないとても大きな数字ですが、自分らしくコツコツと大きな目標に向かって歩んでいきたいです。

小野在由

ボウリングコミュニケーションメディア「JUXTCHUGI MAG」

2024.01


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【プロボウラー紹介 一覧 】
男子
32期 No.762 山口直紹
52期 No.1322 橋本芳史
52期 No.1292 三浦啓寛
46期 No.1122 金子俊之
46期 No.1148 今泉秀規
53期 No.1343 平岡勇人
45期 No.1105 青木 剛
37期 No.920 桜庭良弘
47期 No.1337 今瀧 賢
38期 No.944 石野 宏
61期 No.1451 小野在由
53期 No.1336 黒澤勝彦
女子
49期 No.546 星野恵梨
32期 No.337 前田美津代
48期 No.532 矢野朋代
47期 No.520 三浦美里
47期 No.516 村山文佳
35期 No.369 堂元美佐